2025年8月12日火曜日

DCモータを動かす(PWM)

 今回は DCモーターの制御 に挑戦します。

モーターの回転速度を調整するには、一般的に PWM(パルス幅変調) という方法を使います。PWMとは、電源のONとOFFをとても速いスピードで切り替えることで、モーターに流れる電流の平均量をコントロールする技術です。

  • ONの時間が長いほど、モーターは速く回転します。

  • OFFの時間が長くなると、回転はゆっくりになります。

PWMの大きな利点は、常に最大電圧をかけながらも回転速度を調整できる点です。これにより、低速でも**高いトルク(回す力)**を維持することができます。

今回の回路は「まずモーターを動かしてみる」ことを目的としたシンプルな構成にしています。

PWM(パルス幅変調)とは?

用語意味モーター制御での役割
パルス (Pulse)デジタルの ON(High)/OFF(Low) 信号モーターへ「電圧をかける/切る」の合図
幅 (Width)ON 状態が続く時間(Duty)幅が長いほど平均電圧↑=回転速↑
変調 (Modulation)幅を変えて平均値を調整幅を短くすれば平均電圧↓=回転速↓

周波数
1 kHz と設定すれば 1 秒間に 1,000 回 ON/OFF を繰り返す。
周波数そのものは速度に大きく影響せず「どれだけ細かく刻むか」を決めるパラメータ。

Duty(デューティ比)
0 %=常時 OFF、100 %=常時 ON。
例: 1 kHz で 50 % Duty → 1 ms 中 0.5 ms ON / 0.5 ms OFF。
平均電圧が Vin × Duty になるイメージで、DC モーターは平均電圧に比例して回転速度が変わる。

回路


マブチ製 DC モーター を PWM で駆動します。
モーターには比較的大きな電流が流れるため、スイッチング素子として Nch MOSFET「2SK4017」 を採用します。逆起電力対策としてダイオードを並列に入れ、ゲートの保護やノイズ低減に抵抗とコンデンサを追加します。

役割部品備考
モーターマブチ DC モーター
スイッチング素子Nch MOSFET 2SK4017大電流対応
フリーホイールダイオード1N4007逆起電力吸収
ゲート抵抗1 kΩゲート突入電流の抑制
ゲートプルダウン抵抗20 kΩ誤動作防止(ゲートの浮きを防ぐ)
デカップリングコンデンサ0.1 µF セラミック電源ノイズ吸収

ソースコード

from machine import Pin, PWM
import time

# PWMを出力するピン(例: GP15)を指定
pwm_pin = PWM(Pin(15))

# PWMの周波数(Hz)を設定(例: 1000Hz = 1kHz
pwm_pin.freq(1000)

# デューティサイクル(065535)を設定
# 例えば50%出力なら約32768
def set_motor_speed(percent):
    # percent: 0100
    duty = int(65535 * (percent / 100))
    pwm_pin.duty_u16(duty)
    print(f"Speed: {percent}% → Duty: {duty}")

# 実行例
for speed in range(0, 101, 20):
    set_motor_speed(speed)
    time.sleep(1)

# 最後に停止
set_motor_speed(0)


>>> %Run -c $EDITOR_CONTENT

MPY: soft reboot
Speed: 0% → Duty: 0
Speed: 20% → Duty: 13107
Speed: 40% → Duty: 26214
Speed: 60% → Duty: 39321
Speed: 80% → Duty: 52428
Speed: 100% → Duty: 65535
Speed: 0% → Duty: 0
>>>

処理の流れ

⚙️ 初期化
  Pin(15) を PWM モードに割り当て、1 kHz で動作開始。
  まだデューティは 0(暗黙の初期値)なのでモーター停止状態。

🚀 加速テストループ
  0 %→20 %→…→100 % と 5 回速度を段階的に変更。
  各段階で 1 秒ディレイし、モーターが新しい速度に落ち着くのを待つ。
  set_motor_speed() 内部でデューティ値が計算され PWM ハードウェアに書き込まれるため、速度変更は即時。

🛑 停止
  最後に set_motor_speed(0) でデューティ 0。電圧 0 V 相当になり、回転が止む。
  物理的には慣性で少し回り続けるので、急停止したい場合は逆極性ブレーキや H ブリッジを使う。

長押しボタンでモーター速度を段階制御する PWM プログラム(MicroPython)


# ──────────────────────────────────────────────────────────── # 長押しボタンでモーター速度を段階制御し、 # Ctrl-C で確実に停止する MicroPython スクリプト # ──────────────────────────────────────────────────────────── from machine import Pin, PWM import time # ==== 定数 ==== PWM_PIN = 15 # モーター用 PWM 出力 BTN_PIN = 16 # ボタン入力(LOW = 押下) FREQ_HZ = 1000 # PWM 周波数 [Hz] STEP = 5 # 速度の増減幅 [%] LONG_MS = 500 # 長押し判定時間 [ms] INTERVAL = 100 # 速度更新周期 [ms] LOOP_DELAY = 20 # ループ間隔 [ms] # ==== 初期化 ==== pwm = PWM(Pin(PWM_PIN)) pwm.freq(FREQ_HZ) button = Pin(BTN_PIN, Pin.IN, Pin.PULL_UP) # 内蔵プルアップ def set_speed(pct: int) -> int: """0–100 % を渡して PWM デューティを更新し、その値を返す""" pct = max(0, min(100, pct)) duty = int(pct * 65535 / 100) pwm.duty_u16(duty) print(f"Speed = {pct:3d}% Duty = {duty}") return pct speed = set_speed(0) # ==== ループ用変数 ==== last_state = button.value() press_start_ms = time.ticks_ms() last_update_ms = time.ticks_ms() print("▶ モーター制御開始(Ctrl-C で停止)") try: while True: state = button.value() # 0 = 押下, 1 = 離脱 now = time.ticks_ms() # ── エッジ検出 ────────────────────── if state != last_state: if state == 0: # 押した瞬間 press_start_ms = now last_state = state # ── 押下中(長押し判定込み) ────────── if state == 0 and time.ticks_diff(now, press_start_ms) > LONG_MS: if time.ticks_diff(now, last_update_ms) > INTERVAL: speed = set_speed(speed + STEP) last_update_ms = now # ── 離脱中(減速) ────────────────── if state == 1 and speed > 0 and time.ticks_diff(now, last_update_ms) > INTERVAL: speed = set_speed(speed - STEP) last_update_ms = now time.sleep_ms(LOOP_DELAY) finally: # ==== ここは必ず実行される ==== print("\n⏹ 停止処理中 …") set_speed(0) # デューティ 0 % pwm.deinit() # PWM モジュール解放 print("✔ モーター停止、プログラム終了")


📝処理の流れ

⚙️ 定数設定
PWM出力ピンやボタンピン、PWM周波数、速度の増減幅、長押し判定時間などを決める

🔧 初期化
PWMピンを指定周波数でセットアップ、ボタン入力をプルアップで初期化

🎛 初期速度設定
モーター速度を0%にセットし停止状態にする

🔄 メインループ開始
ボタン状態を継続的に読み取り、状態変化を監視

🕵️ エッジ検出
ボタンの押し始め(押下時)を検出し、押下時刻を記録

⏱ 長押し判定
押下継続時間が500msを超えたら「長押し」と判断

⬆️ 加速処理
長押し中は100msごとに速度を5%ずつ増やす(最大100%まで)

⬇️ 減速処理
ボタンが離されている間は100msごとに速度を5%ずつ減らす(0%まで)

💤 CPU負荷軽減
ループ末尾で20msスリープして処理を制御

🛑 終了時処理(finally)
Ctrl-Cなどでプログラム終了時に必ず実行され、モーターを停止しPWMを解放


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Google Spread Sheetの利用

  以前に ESP32 で作っていたものを、Raspberry Pi Pico W + MicroPythonで再現してみました。 1.Googleスプレッドシートの設定 1.Google Drive → 右クリック → Google スプレッドシート 2.作成して共有をクリック